HEROコンビ越しに見えるGX
遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX(以下GX)がどうにも好きなので、これを機に感想ブログを書こうと思い立ちブログを作ってみました。
未視聴の方に布教しようとか、自分の解釈の正当性(?)を証明したいとか、そういう意図は特に設けず、自分用の覚書程度の感じで書いていこうと思います。その中で「それそれ~」とか「わかる」とか思ってもらえたら嬉しいです。
(ブログが久々すぎて喋り方も掴めてない)
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感想を書くと決めたものはいいもののGXは全180話、何かしらテーマを絞らねば散漫になってしまう…と数日悩み、やっぱりこれだろうと決めたのが第一回のテーマ(二回があるのかは不明)。
『HEROコンビ越しに見えるGX』
※HEROコンビとは…
遊城十代とエド・フェニックスの使用デッキが共にHEROを冠していることに由来するコンビ名。非公式。おそらくリアルタイムのときには無かった呼び名なので、ファンの間の用語の変遷も面白いなぁと思う(脱線)
二人のことはツイッター等でも再三話題にしてはいるが、今回は二人の関係性そのものというより、「二人の描かれ方から見えるGXの物語」の話を書いていきたい。
はじめに
今更キャラ紹介しても…という感じだが、自分の認識を提示するつもりで簡易的にキャラ解説。
遊城十代とは…
主人公。カードの精霊と対話ができる。楽しいデュエルを信条としていたが、多くの試練や人々との出会いによりさまざまな価値観を知っていく。困っている人を放っておけないような人情もあるが、一方で個人主義・ドライな一面も。
E・HEROデッキを使用する。
エド・フェニックスとは…
放送2年目(2期)から登場する十代の後輩。最年少でプロテストに合格した「職業:プロデュエリスト」。自信家でやや傲慢な態度も見られるが、恩義のある人間に報いようとする義理堅さももっている。
D-HEROデッキを使用する。
(認識の紹介と言ったわりに当たり障りないことしか書いてない)
二人の作中での対戦は3回+タッグデュエルでの共闘が1回。エピソードのボリュームとして少なくないはずなのだが、そのわりに関係性が注目されることがそれほど多くない(気がする)。
なので何を書いても「何を言っているんだ」と思われないか正直不安である。
少しでも何かフックしたら嬉しい。すごく嬉しい。
人は他人を変えることができない話
1話~52話までの1期、十代と関わることで変化していくキャラクターたちが多く描かれた。明日香曰く「十代と関わるとみんな変になっちゃう」。
転じて2期、エドは十代に「お前の父さんがくれたD-HEROを復讐の道具に使うなんて…」と言われても父の仇への復讐は完遂しているし、「お前との闘い以来何か変なものが見えるんだ」というセリフはあるものの、万丈目のようにデュエルモンスターズの精霊が見えるようになるという描写はない(美寿知戦タッグデュエルの間に「(十代に向かって)何か見えるんだな」といった気配程度のものを感じているか否か…なセリフがあるのみで、おそらくその後も見えていないと仮定する)。
それで「十代の影響力も大したことない」とか「自分を曲げないエドTUEEE」とか言いたいわけではもちろんない。むしろ、1期で印象的に描かれた「十代の影響力」が何たるかが補完され、「己の存在感をもって自分のペースに巻き込んでいった結果」ではなく「彼の周囲の人間がそれぞれが自ら道を選ぶための出会い」だったと振り返ることができる。
平たく言ってしまえば、「十代に他人を変える力はない」と分かるのがエドとの関わりだ。しかし、十代と出会った人々は確かに変わっていく。それは彼と出会って選択の自由を知るからだ。さまざまな抑圧から解放され、諦めや絶望から前を向く術を知るからだ。
もちろん逆もしかりで、十代もさまざまなキャラクターとの出会いによって変わっていく。それもまた彼自身の感情や選択による変化であって、おそらく作中で「成長」と呼ばれているものだろう。
HEROコンビから話は逸れるが、2期はヘルカイザーのエピソードも印象的である。鮫島戦、吹雪戦、翔戦、各キャラが皆「彼を元に戻すために…」といった旨を口にするが、彼の意思が他者の働きかけによって変わることはない。吹雪戦では亮が「ヘルカイザー」になったのも彼が望んだ選択であり、いわゆる「闇堕ち」の類でないことが語られている。
だからといって各キャラの働きかけや彼を案ずる想いが無駄だとは決して思わない。そりゃあ学園在籍時のカイザーからの豹変具合を考えたら心配にもなるだろう。(作中では「カイザーにはカイザーの考えがある」とヘルカイザーへの転身に彼の意思を見出してる十代のほうが少数派だ)
それでも彼が「人の力で変わらなかった(元に戻らなかった)」のがGXの作風・価値観なのだと後から思い至った。人気が出たからそのままになった…等のメタ的な理由も想像できなくはないが、結果としては物語的な文脈においても「GXらしい」と感じる要素になっていると思う。
人からどう言われようと、自分の人生を決めるのは自分自身なのである。その結論が大人になって見返すと非常に心地よく感じた。
GX世界の「オカルト」と「ビジネス」の話
遊戯王シリーズの多くにはいわゆる「オカルト」的な(魂、精霊、呪いなど)さまざまな超自然的要素が登場する。
それらと対比されるのは原作(DM、DSOD)の海馬やZEXALのカイトが持つ「科学(テクノロジー)」であったりもするのだが、対比といっても安易な二分化ではなく、「表裏一体」または「地続き」のように語られるのがとても好きで、「善と悪」や「光と闇」のような相反する概念を複雑に描いてきた遊戯王シリーズの大きな魅力の一つであると思う。
そしてGXでは「オカルト」的なデュエルモンスターズに対して「ビジネス」としてのデュエルモンスターズの対比が顕著であると考えており、十代とエドの各キャラ造形をそのアイコンとして見ている。
つまり「オカルトサイド」代表の十代と「ビジネスサイド」代表のエドだ。
GX1期の「デュエルモンスターズ」の描写はものすごく「オカルト」に傾倒している。十代や万丈目や隼人による「精霊」との交流はもちろんのこと、高寺オカルトブラザーズ(サイコショッカーのエピソード)なんかはそのまんまなのだが、闇のゲーム、ダークネスの思念、墓守の試練、融合=錬金術、などなど挙げるとキリがない。
そして2期で登場するエドは「プロデュエリスト」という肩書をアイデンティティとする最初の遊戯王キャラである。「プロリーグ」「プロランク」など、彼の登場を皮切りに、「職業:デュエリスト」つまり「ビジネス」のデュエルモンスターズで生計を立てている人々の世界が具体化していった。
先ほどの話題と重複する部分もあるのだが、エドは結局十代側の「オカルト」の世界に染まることはない。DDや斎王の件で「破滅の光」の当事者とも言え、異世界では人間の生贄により召喚されるエクゾディオスの力も目の当たりにする彼だが、それらの要素に対する彼の中の「関心」、そして「理解」でさえ「受容」ではないように思う。(かつての海馬のように「非ィ科学的だ!」と叫ぶわけではないのだが)
ただ、十代との関わりで「精霊が見えかける」というエピソードがあることにより「染まる可能性」が示唆されていると言え、前述のように二項対立的でない「遊戯王らしさ」になっている。世界は繋がっているのだ。
そして更にその「繋がり」を補強するのが万丈目の存在である。万丈目は十代との交わりによりデュエルモンスターズの精霊と交流が可能になり、言わば「オカルトサイド」のキャラとも言えるのだが、終盤エドにプロデュエリストとして弟子入りし、プロとしての進路を決める「ビジネスサイド」のキャラでもある。(過去、財閥の末っ子として兄による「ビジネス」のデュエルに翻弄されるエピソードがあるのも良い)
この対比において万丈目は「ちょうど真ん中」、世界と世界を繋ぐ存在だ。「オカルト/ビジネスの両サイドの物語で活躍できる」ポジションなのも、彼がGXの魅力を多く担う一因だったかもしれない。
別のアングルで「間にいる」と感じるのはデザイナーとしてインダストリアルイリュージョン社に就職した隼人と、ペガサス会長である。彼らは「オカルト」的な、超自然的なインスピレーションで創作し、それを「ビジネス」としている。エドの父親がそちら側の人間だったことも面白い。
一方で十代もプロやその他の職業としても「ビジネスサイド」の世界に進むことはなかった。ユベルとの超融合で超自然的な力を手に入れた十代は、言うなれば「その裏側」の世界で活躍することとなる。
だがエドの登場により広がった「ビジネスとしてのデュエルモンスターズ」の世界に万丈目や翔、多くの仲間たちが進路をとる。教員の道を歩む明日香も広く「職業」としてはそちら側かもしれない。
しかし世界は二分化されていないのだ。自ら異世界に残ったと思われる三沢も、おそらく十代と近しい世界に身を置くヨハンも、地続きな世界のどこかで自分の道を歩んでいるに違いない。
GXの物語は、人と人との関わりにより相反する要素が交わり得る可能性を示唆しつつ、対比により物語の構造を美しく見せている。十代とエドのそれぞれの役割と、二人を含むキャラたちの関わりはそれらを鮮やかに可視化しているのだ。
おわりに
GX、何度見ても面白い!!
今回書いたのはほんと~~に氷山の一角の感想だなと思うほど、見るたびにさまざまな感情がわき上がってくるアニメです。見たときの自分の年齢とか気持ちによっても全然味が変わるなとも思います。
今回の記事、もしかすると途中で「佐藤先生の十代への糾弾を無視して話を進めてない?」とか「あのキャラは?あのエピソードは?」とか、様々なツッコミが生じたかもしれないですけど……そういった派生の話があればまた…どこかで…したいかも…しれないです…
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
GXの感想ブログが流行ればいいな~!